佐伯 泰人

 僕が皆さんくらいの年頃の時、国語……そもそも言葉で表現することが苦手でした。口癖は「べつに」とか「めんどう」とか情けないもの。「クールやね」なんて言ってくれる友達もいましたが、決して性格がそうだったわけではありません。表現する手段が少なかった為に言葉数を減らしていただけなのです。

 そんな僕が変わるきっかけとなったのは、海外へ移籍したサッカー選手が話していたこんな話。「海外の選手は自己主張するが、日本人は主張しない。気づいたら存在が消えてしまう危機感がある。」当時、海外の選手といえばスター選手ばかりを思い浮かべましたから、サッカーが好きだった僕には妙な影響力がありました。「べつに」なんて言って、自身すら説明できなかった僕は「消えちゃうのか。」と強く思ったわけですね。

 「消えない」為には題材は何でも良かった。好きなことについて書き留めてみて人に読んでもらったり、好きなことについて書いてある文章を読んだり。国語という科目でやるようなことを自然とやっていたことに今になって気づきます。

 言いたいことはあるのだけれど、言い表せない。毎日、頭を窮屈にしている人はたくさんいるのでしょう。様々な文章に出逢う中で、「自分」を表現できる分野、そして、言の葉に出会って貰えたら─と思います。